ズブの素人が考える西岡真一郎氏が2015年小金井市長選挙に当選した理由

はじめに書いておくが、私自身は小金井市政に何の関わりもない一般市民で、選挙状況を俯瞰的に分析する手段は何も持ち合わせていない。ただ、今回の2015年小金井市長選挙において、西岡真一郎氏にまつわる事柄で興味深いことがいくつかあったので、それを文字として残しておこうと思った次第である。

2015年小金井市長選挙と小金井市議会議員補欠選挙の結果は下記の通り。なお、市議会議員補欠選挙は、五十嵐京子氏と白井とおる氏の市長立候補に伴うものなので、定数は2名である。
平成27年12月13日執行 小金井市長選挙 開票速報
西岡 真一郎 12,849 当選
五十嵐 京子 10,048
白井 とおる 10,045
岩渕 美智子 5,786

平成27年12月13日執行 小金井市議会議員補欠選挙 開票速報
吹春 やすたか 9,290 当選
坂井 えつ子 7,684 当選
沖浦 あつし 7,048
藤田 浩 5,107
武井 正明 5,096
横山 昌弘 2,814

西岡真一郎氏に関しては民主党出身の議員で、民主党不人気の煽りを受けて都議に落選した後、民主党を離党し、今回の小金井市長選挙へ立候補をしたという流れである。

西岡氏に関して今回の選挙で気になったことをいくつか記載しておこう。まずは公示前、当初駅前でもらった西岡氏のビラを読んだときのこと。他の候補に関してはゴミ問題をどうするとか、市庁舎をどうするとか、何かしらの焦点を記載していることが多く、私自身もそれを期待してビラを受け取ったのだが、なんと、その手の焦点が何も記載されておらず、小金井育ちだの、オール小金井だの、人柄主張に終始した内容だった。これが2015年11月11日発行と書かれているビラ。


私にはそのビラは何の内容もないように思えたのだが、今思うとそれは敵を作らない戦略だったのではないかなと感じた。つまり、考えが分かれる部分でこっちにしますと言ってしまうと、反対の主張をしている有権者の票が得られなくなってしまうわけだ。選挙初期のパンフレットではそれを避けたと。

で、さらに驚いたのが、選挙終盤になって、その毒にも薬にもならない内容のビラから一転して、市庁舎問題を云々かんぬんと、突然市庁舎問題に触れ出したのだ。これが2015年11月29日発行と書かれているビラだ。


市庁舎問題を云々かんぬんと主張をしていたのは、前稲葉市長の反対派である渡辺大三、斎藤康夫と、彼らが神輿として担ぎあげた岩渕美智子候補である。岩渕美智子氏自身に関しては、政治家経験はなく、演説時の声も小さいなど、どう見ても経験不足の印象は否めなくて、実質的に渡辺大三と斎藤康夫が選挙をやっていたような印象を受けた。なぜ彼らが直接立候補をしなかったのかと、市政の事情がわからない私にはそこにかなりの違和感を覚えたのである。

何はともあれ、市庁舎問題を焦点として無駄使いを焦点に定めて拡散していたのは間違いなく彼らだろう。西岡氏が選挙終盤で市庁舎問題を云々かんぬんと言い出したのは、選挙情勢の調査で、それが市民の間で焦点として認知されてきていることを把握したのではないかなというのが、これらの状況を踏まえた上での私の仮説である。

そして、もしそうだとすると、その戦略が当たったのかもしれないと思える出来事が投票日当日にあった。

投票に行く途中で、投票から帰ってくる老夫婦の会話が聞こえてきたのだが、その内容が、やっぱり無駄遣いは云々かんぬんといったものだったのだ。投票に行く人が多いであろう老人世代の生の声として、それが聞こえてきたのを今思い返すと、西岡氏の選挙終盤での戦略変更の解釈として辻褄が合うことになる。

ところで、今回ごみ問題は結果的に焦点にならなかったようだ。朝日新聞出身の佐藤和雄元市長が市政を混乱させたごみ問題に関しては、その反省を受けて、どの候補も今のゴミ政策を推進していくと回答し、稲葉前市長批判派に関しても、わざわざ日野市国分寺市に感謝しますの一文を加えて考えを述べるほどの気の使いようであった。

自民党・公明党と稲葉前市長の支持を受けた五十嵐京子候補は、稲葉市政の継承とごみ問題の推進を焦点にしていたように思うが、今回の結果を受けた上で顧みると、そこが焦点にはならなかったということなのかもしれない。なぜならごみ問題は全員同じことを言っているから。

意外だったのは、佐藤和雄元市長から直接の支援を受けていた白井とおる市長候補と、佐藤和雄元市長を支持して当選させた市民ネット系の支持を受けて立候補した坂井えつ子市議候補がともにかなりの得票数を得たこと。

個人的には小金井のゴミ問題を混乱させたその勢力には憤りしか感じないのだが、選挙結果を見る限りでは、小金井市内にはかなりの支持基盤があるということだろう。

市長選挙と市議選挙の結果があまりリンクしていないのも興味深いところである。支持基盤ベースでペアリングを記載すると、
西岡真一郎-武井正明
五十嵐京子-吹春やすたか
白井とおる-坂井えつ子
岩渕美智子-沖浦あつし
となるが、両者の結果がことごとくリンクしていないことがわかる。 西岡真一郎氏は市長になったが、同じ支持基盤の武井正明氏は落選し、反対に五十嵐京子氏は落選をしたが、吹春やすたか氏は市議に当選した。白井とおる氏と坂井えつ子氏はともに相当数の得票を得たが、岩渕美智子氏は得票が大きく凹み、逆に沖浦あつし氏はかなりの得票数を得た。

これはどう解釈すればよいのだろう?支持基盤以外の有権者の取り込みに差がでたということなのだろうか?そう考えると、やはり選挙に行くことは意味があるのかもしれないから行ったほうがいいよという無難でそれっぽい結論で今回の選挙の考察を終えることにしよう。